「お邪魔しまーす……」
花粉症用……いや、変装用のマスクとゴーグルを外し、彼の部屋に上がる。
リビングに入ると、フローリングの上にパンパンになったスーパーの袋が置かれていた。
「しばらく忙しくて水曜の約束守れてなかったから、今日は一緒に料理しようかと思って。インスタントラーメンよりはいいだろ」
浅野課長はそう言いながら、買ってきたものを袋から取り出して冷蔵庫に詰め始めた。
そういえば……私、昨日ここの玄関で彼に抱きしめられながらそんなこと言った気がする。
ほとんど冗談で言ったあの一言をちゃんと覚えていてくれたことに、なんだかちょっと嬉しくなった。
