「わかりました。お世話になったのは短い間でしたけれど、麻友さんに挨拶してきます。教えてくださってありがとうございました」
「いえいえ。じゃあ、またね」
まさか『昨日麻友さんに脅迫まがいのことをされたので気まずいんです』……なんていえない。
慎さんには申し訳ないけれど『挨拶に行ってくる』なんて嘘をつき、彼の部屋を後にした。
とにかく、麻友さんがアパートを出ていけばもう関わることもなくなる。
昨日浅野課長にキツい言い方で振られた麻友さんには少し同情してしまうけれど、話しかけに行って彼女を刺激してしまったら……と考えると、もう会わないほうがいいだろう。
私はそう考えて、浅野課長の帰りを待つために自分の部屋へ戻ることにした。
