そうやって昨日のことをぼんやりと思い出している間に、電車が会社の最寄駅についた。 「じゃあ、俺は先に会社行ってるから。また、ミーティングで」 「はい」 怪しまれないように、アパートから駅までと駅から会社までの道のりは別々に歩くことにしている。 さっきまですぐそこにあった体温を急に失い、なんだか寂しくなったけれど、これも秘密の関係を守るため。 顔を両手で軽く叩いて気合を入れ直すと、私もゆっくりと会社への道を歩き始めた。