「まだ4月だってのに、夏みたいな天気だな」
「そうですねっ……あ、電車来ましたよ、乗りましょう」
すぐそばにいる浅野課長の顔を見上げることに緊張してしまい、私は彼を急かしながら電車に乗り込んだ。
久しぶりの、壁際の定位置。
いつものように壁について、私を人混みから守ってくれる浅野課長の左腕。
浅野課長との関係が変わったことで、少し前までは日課でしかなかったこの通勤スタイルもなんだか気恥ずかしくなってくる。
――ガタッ
「きゃっ」
急カーブを曲がった電車が大きく揺れ、前に転びそうになった私の体を、浅野課長の長い腕が抱きとめた。
