冷徹上司は大家さん!?

 オフィスのほうを振り返ると、1つだけ明かりがこぼれている窓の向こうから浅野課長がこっちを見ている。

 私が窓を見上げていることに気づいた彼は、おそらく片方の口角を上げたあの笑い方で片手を振った。


 足を踏み出そうと前に向き直るけれど、これから浅野課長の部屋に行かなければいけないのだと思うと気が重い。


 失恋相手のを目の前にして、どうやって避けていた理由を説明しろというんだろう。

やっぱり逃げてしまおうかな。

 ううん、とりあえず部屋の鍵は返してもらわないと。

 明日の朝「24歳OL、ホームレスになって野垂れ死ぬ」なんて報道されたら笑えない。


 そんなくだらないことを考えて気を紛らわし、私は再び歩き始めた。