冷徹上司は大家さん!?

「おはようございます、浅野課長!」


 見慣れた彼の顔を目にしたらなんだかほっとして、新入社員のような威勢の良さで挨拶してしまった。


「おはよう。ミーティングはどうだった?」

「あはは、失言してなかったかなーって今更心配しているところです」

「そっか。あ、永原、頭になんかついてるぞ」


 浅野課長はそう言って廊下の隅で私の髪の毛を触り始めた。

 毎朝電車で5センチくらいの近距離にいたのに、1日会わなかっただけでなんだかすごく緊張する。


「……っ」


 この緊張はただ距離が近いからなのか、それとも……。

 心臓の音が聞こえてしまわないか不安になって、私は思わず目をきつく閉じ身構えた。