冷徹上司は大家さん!?

「あ、それから」

 優香さんは言葉を区切って周りをきょろきょろ見回し、私に耳打ちした。

「恋愛の悩みも喜んで聞くから、いつでも相談してね」


 そう言って優香さんはウインクし、上品なジャケットを翻して自分のデスクに戻って行った。


「あはは……」


 優香さんの言葉を聞いて、またこの前の飲み会のことを思い出してしまった。

 私の異動に口添えしてくれた……らしい瀬尾さん。


 いくら借りができていたって、私の中で答えが出ているならちゃんと断らなきゃ。 


 私はそう決意を固めつつ、新しいデスクで仕事の準備を始めた。