幸福論

「…ごめん」

彼女はいつも買い物をしたあと、罪悪感に苛まれ、時にはむせび泣き、もう死んだほうがいい、とこぼすことさえあった。

「いや、責めてるんじゃないよ? ただ、ほら、うち狭いから置くとこないでしょ? あたしのものだってあるわけだし」

狭いこの部屋はもう、あこが浪費した服や本などで足の踏み場もないほどだった。