私の初めての恋人は!?

私は、頬杖をつきながら窓の外を見ていた。すると、私の目の前に桜の花びらが舞っていた。

ふと、お母さんが言っていた事を思い出す。

この辺では、この学校は、桜がとても綺麗に咲くと有名らしい。
確かに、教室から見ると、一面綺麗な桃色に染まっていてとても綺麗だ。



桜を見ながら担任が来るのを待っていると、



「キャーー!!!」



女子の悲鳴の様な声が教室に響きわたる。



その女子の悲鳴の様な声に混ざりながら、聞き慣れた声が私の名前を呼んだ。



「雪ちゃん!」


後ろから聞こえた声に反応するように、私は椅子を下げ、顔を上げた。



「久しぶり瞬」

「うん!久しぶり!雪ちゃんが此処に行くって聞いて驚いたよ!同じとこ受けたならメールぐらいしてくれても良かったじゃん!」



そう言いながら、あからさまに溜め息をつくコイツは、私の幼馴染の山木瞬。茶髪にキリッとした目。なのに、そのルックスとは違いとても優しい性格で、身長は普通に高くカッコイイと思う。中学の時とかは、よく告白されてる所を見た。

因みに、昔から家が近所でよく遊んでいた男子の一人でもある。



「瞬が居るって事は.....」

「うん!直輝もいるよ!」

「おい山木!俺を置いて先に行くなよ!」


そう言いながら大袈裟に肩で息をするコイツは、もう一人の幼馴染の黒瀬直輝。黒い髪に大きな瞳、身長は普通ぐらいだけどコイツも顔はカッコイイと思う。告白もされてたが本人は全く気づいてなくて、中学の時は、フォローするのに色々と大変だった。

直輝は、小学生の時に仲良くなり、それからずっと一緒にいる。



「お前ら朝から騒がしい。」

「お前なんだよ...って!雪!?」

「よ!直輝」



片手を上げながら挨拶をすると、さっきまで息が切れてたはずなのに、何故か真顔ですでに普通の呼吸に戻し近づいてくる直輝。



「直輝.....?」

「お前!!」



大きな声を出したかと思うと、急に私の肩を掴んで激しく前後に揺らしてくる。



「なになに!どうした、直樹!?」

「どうしたも、こうしたもねぇー!!何でメールしてこねぇーんだよ!!受けた高校も教えてくれねぇーし!春休みの間にも全くメール返してくんねぇーし!」



そう熱く語り始める直輝。



「ごめんごめん!春休み始まって1日目にケータイ川で落として水没してさ〜壊れたついでにケータイ変えたんだよ!高校教えなかったのは、私はお前らが何処に行くのか知ってたから驚かそうかな〜って思ってて!」



私がそう言うと瞬と直輝の顔に黒い笑みが見え始めた。



「山木!コイツ、こんな事言ってるぞ。」

「う〜ん、流石に僕もイラっときたかな?」



二人は、黒い笑顔を私に向けながら、少しずつ近づいてくる。



「お前ら....何でそんなに笑ってんだ....?」

「さーて。雪、何でかなんて聞かなくても分かってるよな?」

「分かんない。」



私は即答で答え、席を立ち二人から距離をとろうとしたけど.....



「何処行くの雪ちゃん?」



黒い笑顔で私の肩を掴む瞬。



痛いです瞬....



「山木、そのまま押さえてろよ!」

「うん!」



そう言って後ろから私をギュッと抱きしめる瞬。

その瞬間、また教室に悲鳴がおきる。


悲鳴あげてないで見てるお前ら!誰か助けろよ!なんて、思っていたのもつかの間。




「直輝.....止めろ....!」

「聞こえねぇ〜」




一歩、また一歩と私に近づきながら手を変な動きをさせる直輝.....





そして、






「ちょと....まって....!!」

「まだまだ!」

「ヤバい.....ヤ....ばいから!!」




私の声など届かず先生が来るまで私は、ずっと直輝に『くすぐられ』続けた。