「雪!ここだよ教室!」

「え...?あ、うん。」



今日会ったばかりの西岡さんに急に名前で呼ばれ、正直戸惑いを隠せなかった。



だが西岡さんは、そんな私の事など目もくれず、眩しい笑顔を向けながら「早く入ろ!」と強引に私の腕を引く西岡さんと共に私は、1−Cと書かれた教室に入って行った。








ざわつき、落ち着かない教室。




中に入って黒板に目をやると、黒板には、自分の座席の場所が書かれていた。






私は、





一番後ろの窓際の席。



よし!むっちゃ良い席じゃん!





ま、因みに西岡さんは.....






「私、一番前の席だーー!!」




っとさっきから、一人で叫んでいる。



叫ぶのは良いんだけど.....



「西岡さん、そろそろ腕放して貰える?」



そう、さっきから私の腕を放してくれる気配がまったく無い。




放して欲しい思いを込めて私がそう言うと、また笑顔で....




「雪が私のこと名前で呼んでくれたら放す!」





そう言いながら、さっきより強くしがみついてくる西岡さん。






うーん....







一回くらいなら、良いか。







「美優、先生そろそろ来るから放して貰えないかな?」



私が、首を傾げながらそう言うと西岡さんの顔がどんどん赤くなっていく。




「西岡さん、顔赤いけど大丈夫?」





私が顔を覗きこむと、何故か私と距離をとりながら手を振っている。





「な、何でもない////わ、私..そろそろ自分の席につくね!!」





そう言って早足で自分の席に向かっていく美優。





一体何なんだろ?






そんな疑問を抱きながら、私も自分の席に着く事にした。