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「はあ……」


黒いケースから伸びるベルトを、コートの上から肩にたすき掛けして、駅へと歩き出す。ずっしりと重いのはこのケースだけじゃない。


「むしろ私が荷物みたい……」


駅までの道中、ショーウィンドウに映った自分の姿を見て、泣きたくなった。