あとはもう、まっすぐ駅に向かうだけだ。 少しずつ周りの景色が街になってきて、旅の終わりが近いことを知らせてくれる。 「この辺、見覚えあるか? 向こうに見えるのが、白鳥を見に行ったときに寄ったコンビニだよ」 「えっ!……雪が無いです」 分かってはいたことだけど、いざ目の当たりにすると不思議なものだ。これまでにたった一度だけ、しかも真冬の大雪の日に来てしまったものだから、ここが、ちゃんと〝夏〟になっていることが信じられない。 「当たり前だろ。夏なんだから」 隣で小林さんが吹き出した。