「宗二郎」 名前を口にして、隣に呼ぶ。 そして着物の袖を引っ張り、少し屈んで顔が近くなる。 「春子様……」 私は何も言わずにじっと見つめる。 すると困り顔だけど、さっきとは違う照れが混じったような表情。 「春子」 そう言うと、ゆっくりと顔を近づけてきて重なる。 優しい温もり。 愛しくてたまらない。 ギュッと着物を握る力を強めた。