「春子様、お時間ですよ。
早く行きましょう」
庭で小鳥のさえずりを聴きながら、空を仰ぐ。
それを邪魔する声。
「まだよいではないか。
こんな天気の良い日に勉学なんてするもんじゃない」
「いつもそう言ってるではないですか。
……った。何するんですか」
「もっと昔みたいに気軽に話してくれ。
寂しいではないか」
「そう言われましても」
困ったような表情。
ほんの数年前までは一緒になって騒いでいたのに、いつからか距離が開いてしまったみたいだ。
それは私が貴族と言われる身分だから。
けど、私はそんなに品があるわけではない。
もっと自分らしく楽しみたいんだ。