「春子さんに救ってあげてって言われた。
何のことか分からなかったけど、あなたのことだったんだと思った」
直樹くんを抱きしめる力を強くする。
春子さんの想いをちゃんと洋一郎さんに伝えたい。
「春子さんはいつも陰で頑張っている洋一郎さんを見ていたよ。
誰よりも努力家で頑張ってる姿を。
見ていたのに、洋一郎さんの気持ちに気づいてあげられなくてごめんって。
気持ちに応えられなくてごめんって」
言っていて涙が溢れてくる。
どうしようもなく切ない気持ちになる。
「春子……好きだった。
ずっとずっと好きだった。
宗二郎しか見ていないって叶わないって分かっていて、それでも諦めることができなかった」
直樹くんの中の洋一郎さんが目覚めている。
きっと、ずっと誰にも言えなくて苦しかったんだね。
「どんどん苦しくなって行き場のない気持ちを吐き捨てたくて、ヒドイことをした。
そんな言葉で済ましていいと思ってない。
でも、本当に苦しかったんだ」