「メガネ、外れた時に伝わってきた。
洋一郎さんの気持ち」



「え……」



「ずっと気づかなくてごめんね」





直樹くんがかけていたメガネが吹っ飛んだ拍子に落ちた。


そして触れた時に感じたんだ。





「春子さんのことを想っていてくれてありがとう」





春子さんに対する愛しい想いが。


直樹くんがずっとメガネをかけていたのは、霊力が強いから。




それを制御する役割をしていたんだね。



実里ちゃんからもらったゴムと同じ匂いがした。



その代わりにさっき実里ちゃんから渡された水晶を直樹くんにあげる。


直樹くんの……洋一郎さんの痛みを吸い取ってあげて。




「春子さんのことを一途に想っていたのに、春子さんは弟の宗二郎さんばかりで。
他人の気持ちに鈍感だったよね。
春子さんの心がすごく伝わってくるの」



今まで気づけなかった。


隠された気持ちに。