あぁ、これが私の悪の力だったんだ……。 ふとそんなことを思った。 蒼のおかげで正気を取り戻した私は、もう一度直樹くんを見る。 「絶対許さない」 「おい、咲良!」 直樹くんに近づき、頬を引っ叩こうとする。 けどその手を頭に回して抱きしめる。 「え……」 「ごめんなさい」 「咲良……?」 「洋一郎、ごめんね……」 そう言って直樹くんの中にいるであろう洋一郎さんに呼びかけ始めた。