「緒方のことは俺が守るから」
そう言うと、さっきみたいに私の腕を掴んで無理やり立たせる。
歩くように促されて、私の家までの道を案内させられた。
「入江くん、意味がわからないんだけど」
「俺にも整理させてほしいから、明日まで待って」
「……うん」
今すぐにでも説明してもらいたかったけど、入江くんの声が切羽詰まっているような、とにかくいつもと違ったからそれ以上は何も聞かなかった。
そのまま家まで送ってもらった。
「ありがと」
「今日はゆっくり休んで」
じゃ、と言うと私に背を向けて歩き出した。
入江くんの背中をある程度見送ってから家に入った。
幸せだと思ったこの日から私の生活は狂い始めた。
そう、これがきっと悪夢の始まりだった。