私の反応に困ったような表情を作ると、その場に倒れ込む。
急いで駆け寄り、上半身を抱き上げ支える。
あちこちを刺されたようで着物が裂かれ、痛々しい傷からは血が滲んでいる。
呼吸も浅い。
頬に手を添える。
「一緒に……一緒に逃げよう」
私の目から溢れるそれはとめどなく、彼の頬を濡らしていく。
彼はゆっくりと手を動かし、私の手に自分のを重ねる。
「自分はもう、助かりません。
だからせめて、貴女だけでも……」
「嫌だ!
私が今すぐこのくらい治してやるから、そんなことを言うな」
手に念を込める。
私の全身の力を掌に集中させる。