「昨日家の前で事件があったらしいのよ。
近所の人がたくさん。
沢田さん家は気がついたらみんな外で倒れてたって。
直樹くんも」




「そ、そうなんだ。
怖いね」



「ほんとよ。
だから咲良も気をつけなさいね。
夜遅くまで出歩かないように」





朝起きてリビングで食パンをかじっていると、お母さんの言葉で思わず詰まりそうになる。


急いで牛乳を飲んで平然を装ったけど、気づいてないよね?





昨日はあれから、朝方に家に戻ってきた。



また何かあったら危ないからと、夜が明けるまで蒼と一緒にいた。





じーっと手のひらを見つめる。



私には春子さんの力があるんだ。


実感できなかったけど、力が使えてようやく実感が湧いてきた。




そしてこの力は狙われている。


正直誰に狙われているのかは分からないけど、その人達は悪用するってことだけは分かる。