蒼が止めようと、実里ちゃんの前に回る。
けど実里ちゃんは歩みを止めずに、その横を抜けようとする。
蒼はそれを手を出して塞ぐ。
「邪魔」
「咲良は俺と帰るんだけど」
「咲良に近づかないで」
「無理。彼氏だから」
「それが演技ってことくらい分かってるから」
え?
実里ちゃん、信じたと思ってたのに。
私の下手くそな演技に乗っかってただけだったの?
蒼もそう言われるとは予想外だったみたいで、言葉が詰まってしまった。
それを良いことに実里ちゃんは再び歩き出した。
「実里ちゃん待って!
確かに本当に付き合ってないけど、私は蒼と帰らなきゃ」