「実は……」



「咲良」




直樹くんに話そうとしたのを、別の人によって遮られる。



声が聞こえた方に顔を向ける。





「蒼!?」



「迎えに来た」




驚く私とは対照的に、いつも通りの蒼は私の手を握る。


迷いのない行動にドキッと胸が鳴る。






「……誰?」



「咲良の彼氏の入江蒼。
これからは毎日俺と登校するんで。
じゃあ」




直樹くんにそう言うと、すぐに背を向けて歩き出す。



私はチラチラと直樹くんの様子を振り返って窺う。


何か直樹くんの周りの空気感が怖かったけど、大丈夫だよね?