大人の恋は波乱だらけ！？

「ねぇ、俺と付き合わない？
俺さ……葉月ちゃんの事……」

「田中、酔いすぎだ」


低い声が聞こえたと思ったら、私の体から急に重みが消える。
さっきまで私を抱きしめていた先輩は急に立ち上がっていた。

いや、正確には立ち上がらさせられていたのだけども。


「た……高梨部長！！」

「顔でも洗って頭冷やしてこい」


聞いた事も無い低い声を出しながら先輩の腕を掴むのは高梨部長だった。
顔も不機嫌そうに歪んでいる。
そんな高梨部長を見た先輩は一気に酔いが醒めたのか顔を真っ青にした。


「は……はい！」


逃げる様に走っていく先輩の背中を見ながら安堵のタメ息をつく。
助かった、安心したせいか強張っていた体から一気に力が抜ける。


「おっと、大丈夫か？」

「だ……大丈夫です」


倒れかけた私の体は隣に座った高梨部長によって受け止められていた。
ドクンと高鳴る鼓動を押さえながら急いで体を離す。


「すみません！
それと……助けて頂いてありがとうございました」


謝罪とお礼をすれば、深いタメ息をつかれる。
まさかタメ息をつかれるなんて予想もしていなかった私は高梨部長を見たまま固まってしまう。

そんな私を見た高梨部長は不機嫌そうに顔を顰めた。