大人の恋は波乱だらけ！？

温かい感触が私を包み込んでいた。
心地の良い日差しと私を包み込む何かに身を任せながらもう1度眠りにつこうとした時、不思議な感覚に陥った。

私の体に僅かにかかる重みは一体何なのだろうか？
少なくとも私の部屋のベッドにはそんなものない。

重い瞼を持ち上げて目の前にある光景を見た瞬間、私は驚きのあまりに声も出せずに固まっていた。


「っ……！！」


目の前にあるのはガッシリとした胸板だ。
惜しげもなく見せびらかす様に何も身に着けていない上半身が私の眼前を支配していた。
スラッと伸びた手は私の体を包み込む様に絡まりついている。
互いの体温が交じり合い、丁度良い体温が生まれていた。

冷静に働いていた頭が突然と真っ白へとなっていく。
互いの体温が交じり合うって……。
恐る恐る自分の体に目をやれば、何も身に纏っていない体が視界へつ映る。

現実逃避をするように天井を仰げば、自分の部屋とは全く違う事に気が付く。
寝ているベッドもこんなにフカフカじゃない。
家具だって高級そうなものばかりで、私の部屋とでは月とすっぽんだった。


「……きゃあー！！」


冷静さを取り戻した私は大声で叫びながら目の前にあった胸板を思いっきり押し飛ばしていた。
ゴンと鈍い音が部屋へと響き渡り、私の前から男の人は消えていった。
それと同時に不機嫌そうな声が私へと向けられる。


「何すんだテメェは……」

「あっ……貴方は……」


固まる私の前に現れたのは、頭を押さえながら気怠そうに眉を顰める上半身裸の新條さんだ。
その顔は昨日の爽やかな笑顔からは想像が出来ないほど恐ろしいものだった。
あの丁寧な口調も彼からは消え去り、私が知っている新條さんとは全く違っていた。