「いえ……夢は別にありました」
「……“ありました”?」
過去形で言った私に疑問を持ったのか新條さんは首を傾げる。
「はい、でも私には無理だったんです」
「……もう諦めてしまったんですか?」
「……はい……」
そう言った瞬間、胸が切り裂かれるような感覚が私に襲いかかってきた。
ズキズキと痛む胸は私の言葉を否定しているように見えた。
諦めたくない、そう言っているみたいに……。
「……貴方は嘘つきですね」
「え……?」
クスリと小さく笑うと新條さんは真っ直ぐに私に手を伸ばしてきた。
そっと頬に大きな掌が覆いかぶさる。
彼の手は冷たくて、ピクリと体を揺らせば再び小さく笑われる。
「本当に夢を諦めた人は、こんな哀しそうな顔をしませんよ」
「哀しそうな顔……」
「はい、今にも泣きそうな顔をしています」
彼がそう言った瞬間に、私の目からは涙が溢れ出てきた。
その涙は新條さんの手を濡らしていく。
私は咄嗟に離れようとしたが、新條さんの空いていた手がそれを阻止した。
「逃げないで、ちゃんと自分と向き合いましょう。
貴方はまだ……夢を諦めきれていないって……本当は分かっているんでしょう?」
片手で私の体を抱きながら、顔を見つめてくる新條さんに肯定も否定もする事は出来なかった。
「……“ありました”?」
過去形で言った私に疑問を持ったのか新條さんは首を傾げる。
「はい、でも私には無理だったんです」
「……もう諦めてしまったんですか?」
「……はい……」
そう言った瞬間、胸が切り裂かれるような感覚が私に襲いかかってきた。
ズキズキと痛む胸は私の言葉を否定しているように見えた。
諦めたくない、そう言っているみたいに……。
「……貴方は嘘つきですね」
「え……?」
クスリと小さく笑うと新條さんは真っ直ぐに私に手を伸ばしてきた。
そっと頬に大きな掌が覆いかぶさる。
彼の手は冷たくて、ピクリと体を揺らせば再び小さく笑われる。
「本当に夢を諦めた人は、こんな哀しそうな顔をしませんよ」
「哀しそうな顔……」
「はい、今にも泣きそうな顔をしています」
彼がそう言った瞬間に、私の目からは涙が溢れ出てきた。
その涙は新條さんの手を濡らしていく。
私は咄嗟に離れようとしたが、新條さんの空いていた手がそれを阻止した。
「逃げないで、ちゃんと自分と向き合いましょう。
貴方はまだ……夢を諦めきれていないって……本当は分かっているんでしょう?」
片手で私の体を抱きながら、顔を見つめてくる新條さんに肯定も否定もする事は出来なかった。

