大人の恋は波乱だらけ!?

「若いって……新條さんもお若いじゃないですか」


確かな年齢は分からないが、外見からして20代後半だろう。
そう思いながらお酒を飲んでいれば新條さんは苦笑い気味で口を開いた。


「僕はもう36歳なんです」

「……え……」


声を出したタイミングが悪かった。
飲みかけていたお酒が気管支へと入り咳き込んでしまう。
あまりの苦しさに涙が浮かんできた。


「大丈夫ですか?」


そんな私を心配そうに見ながら新條さんは優しく背中を撫でてくれる。
声は出せないものの『大丈夫です』と視線で訴えればホッとしたように笑顔を浮かべてくれる。


「すみません、もう大丈夫です」

「よかった……。
すみません僕のせいで……」


そっと手が離される。
落ち着くまでずっと背中を擦っていてくれた彼は本当に優しい人なのだろう。
新條さんの人の好さに感動をしながらも私は彼の言葉を否定した。


「新條さんのせいじゃないですよ!
……私こそすみません」


年齢を聞いて咳き込むほど驚くなんて失礼に値するだろう。
申し訳なさで彼の顔を見れずにいれば、フワリと頭に重みが掛かる。