「だからお前は警戒心がないんだ。
こんなに至近距離にいたら……何されるか分からないぞ」
低いトーンで言う高梨部長はどこか妖艶で少し怖かった。
いつもと全く違うその雰囲気に戸惑いながらも笑顔を浮かべる。
「大丈夫ですよ!高梨部長は優しいですから」
笑いながら言えば何故か哀しそうに眉尻を下げる高梨部長が目に映る。
どうしてそんな顔をしているの?
答えが返ってこないのは分かっているのに心で何度も呟いてしまう。
「お前は何も分かっていない」
「え……?」
「俺が今……どんな想いでこうしているかなんて何も知らないんだろうな」
「高梨ぶちょ……」
掴まれている手首が引かれ高梨部長の方へと引き寄せられる。
空いていた方の手で私の体を支えると、高梨部長の顔がゆっくりと私の顔へと近づいてくる。
もしかして……“キス”
その単語が頭に浮かぶ頃には互いの唇が触れ合いそうになった時だった。
「……っ!!」
「……」
突然、軽快なメロディーが鳴り響いた。
高梨部長はピクリと肩を揺らすと私の体を離して椅子へと座りなおしていた。
私は今起きた事が理解できずに呆然と高梨部長の横顔を見つめていた。
こんなに至近距離にいたら……何されるか分からないぞ」
低いトーンで言う高梨部長はどこか妖艶で少し怖かった。
いつもと全く違うその雰囲気に戸惑いながらも笑顔を浮かべる。
「大丈夫ですよ!高梨部長は優しいですから」
笑いながら言えば何故か哀しそうに眉尻を下げる高梨部長が目に映る。
どうしてそんな顔をしているの?
答えが返ってこないのは分かっているのに心で何度も呟いてしまう。
「お前は何も分かっていない」
「え……?」
「俺が今……どんな想いでこうしているかなんて何も知らないんだろうな」
「高梨ぶちょ……」
掴まれている手首が引かれ高梨部長の方へと引き寄せられる。
空いていた方の手で私の体を支えると、高梨部長の顔がゆっくりと私の顔へと近づいてくる。
もしかして……“キス”
その単語が頭に浮かぶ頃には互いの唇が触れ合いそうになった時だった。
「……っ!!」
「……」
突然、軽快なメロディーが鳴り響いた。
高梨部長はピクリと肩を揺らすと私の体を離して椅子へと座りなおしていた。
私は今起きた事が理解できずに呆然と高梨部長の横顔を見つめていた。

