「社長はな……最初はいいゲームを作ろうと、誰かが楽しんでくれるゲームを作ろうと……。
寝る間を惜しんででも仕事を優先させる人だった」
「そう……だったんですか……?」
私の頭の中には廊下での出来事が浮かぶ。
『シナリオ読ませて貰ったよ!
あれなら前回を超える大ヒット作品になるだろう!
今から利益が楽しみだよ!』
あの社長の言葉からではそんな雰囲気はちっとも分からない。
それに社内でも有名な話だった。
社長は利益しか見ていないと。
どんなに面白いゲームが出来ても、売れる見込みがなければ容赦なく却下される。
それは会社にとっては当たり前なのかもしれないけど、少し哀しく感じる。
「ああ、その甲斐もあって会社は大きくなった。
だが……今じゃあ利益、利益……口を開けばそれしか言わない」
悔しそうに奥歯を噛みしめ、高梨部長はバンとテーブルを両手で叩いた。
「俺は……あの人の熱い想いに憧れて入社したのに……。
俺が尊敬していた背中は今となってはどこにもない……」
社長に対して強く思いれがあるのか、いつもの高梨部長とは雰囲気が違って見えた。
「高梨部長……」
「……もうあの人の様に……変わっていく人を見たくない。
俺が尊敬する人のままでいて欲しいんだ……お前には……」
哀しそうに揺れた瞳が静かに私へと向けられた。
寝る間を惜しんででも仕事を優先させる人だった」
「そう……だったんですか……?」
私の頭の中には廊下での出来事が浮かぶ。
『シナリオ読ませて貰ったよ!
あれなら前回を超える大ヒット作品になるだろう!
今から利益が楽しみだよ!』
あの社長の言葉からではそんな雰囲気はちっとも分からない。
それに社内でも有名な話だった。
社長は利益しか見ていないと。
どんなに面白いゲームが出来ても、売れる見込みがなければ容赦なく却下される。
それは会社にとっては当たり前なのかもしれないけど、少し哀しく感じる。
「ああ、その甲斐もあって会社は大きくなった。
だが……今じゃあ利益、利益……口を開けばそれしか言わない」
悔しそうに奥歯を噛みしめ、高梨部長はバンとテーブルを両手で叩いた。
「俺は……あの人の熱い想いに憧れて入社したのに……。
俺が尊敬していた背中は今となってはどこにもない……」
社長に対して強く思いれがあるのか、いつもの高梨部長とは雰囲気が違って見えた。
「高梨部長……」
「……もうあの人の様に……変わっていく人を見たくない。
俺が尊敬する人のままでいて欲しいんだ……お前には……」
哀しそうに揺れた瞳が静かに私へと向けられた。

