「でも……可笑しいんですよ私」

「……何がだよ」

「あんなに大事にしてくれる仁さんより……。
不器用な優しさで身を引いてくれた昴さんを愛してしまったんですから」


照れながらもしっかりと伝えれば昴さんは急に立ち止まった。

まだ怒っているのかな?
そう思いながら彼を見上げようとすれば……。


「んっ……!?」


突然塞がれる唇。

目の前には整った彼の顔があった。
その顔が真っ赤に染まっていた事は気のせいなんかじゃない。


「外で煽ってんじゃねぇよ……」

「あ、煽ってなんか!!」

「あーもう限界だ、帰ったら覚悟しとけよ。
……もう絶対に寝かしてやらねぇ……」


真っ赤な顔のまま怒る彼が凄く愛おしくて。


「寝かさないで下さいよ?」


ついからかう様に彼を見上げてしまう。