大人の恋は波乱だらけ！？

「大変だな小説家って言うのは」

「大変ですけど……夢が叶ったので嬉しいです。
仁さんのお蔭ですよ」


彼を見つめ昔の事を思い出す。

【恋した悪魔】の小説が異例の大ヒットとなり……。
私はそのまま小説家への道を切り開いた。

あの時、高梨部長が私に書かせるようにお願いしてくれなかったら……。
今の私は存在しない。


「仁さんには2度も人生を救われました」

「大袈裟だなおお前は」


大袈裟なんかではない。

沢山の作品の中に埋もれていた私の作品に目を付け私を引っ張り上げてくれた事も。
小説家への道のキッカケを作ってくれた事も。

本当に感謝している。

だから……。


「大袈裟なんかじゃないですよ。
私は貴方に一生ついていくと決めたんです」

「ったく……義理堅い奴だな……。
有名な小説家になったって言うのにうちとの専属契約を続けるなんてよ」

「ココが私の始まりの場所ですから。
それに仁さんの役に立てるなら嬉しいです」


ふふっと笑えば仁さんも笑ってくれる。
そんな柔らかい空気を壊す様にノックが聞こえてくる。