「遅くなってすみません!!」

「……お前が遅れるなんて珍しいな。また寝不足か?
〆切に間に合ったのか?」

「な、なんとか……」


あはは、と苦笑いをしながら目の前の高梨部長……。
いや、高梨社長を見つめる。

お父さんの跡を継いで、社長になった高梨部長。
もうすっかりと板についていた。


「ったく、こっちの〆切はきちんと守ってくれるのにな」

「そりゃあ、高梨部長にはお世話になりましたから。
優先しちゃいますって!」


にっと笑えば呆れた様に笑われる。


「名前でいいって言っただろう?」

「そ、そうでした!じ……仁さん」


彼の名前を呼ぶのは未だ緊張してしまうけど……。
こんなに優しい気持ちになるのは初めてかもしれない。


「それでよし」


2人で笑い合って、暫く他愛のない会話を楽しむ。