大人の恋は波乱だらけ!?

「わ~いいお天気ですね!」

「……そうだな」


オフィスを抜け出して来たのが屋上だった。
綺麗なブルーに包まれた空を見ながら深く呼吸をする。
少し冷たい空気が肺に入って、興奮しきった体を冷ましてくれるんだ。


「それにしても……皆さん凄い騒ぎ様でしたね!耳が痛いくらいです」


両耳を押さえながらワザとらしく笑う。


「ははっ!確かにな」


目じりを下げて優しく笑う彼に私も同じ様に顔を緩めた。
2人で肩を並べながらフェンスの先を見つめる。


「桜木」

「はい?」

「……結婚しようか」

「……へ……?」


フェンスを掴んでいた手がゆっくりと下がる。
カシャンと乾いた音が鳴って辺りは静まり返った。


「……俺は本気だよ」

「ちょっ……待ってください!どうしていきなりそんな……」


慌てて高梨部長を見つめる。
でも彼は私の方を向く事なく、さっきと同じ様にフェンスの先を見ている。
その横顔は端正で見ているとドキリと胸が高鳴るくらいだ。