「そ……それより景子先輩って本当に凄いですよね!
パソコンでこんなキャラクターが作れるなんて!」

「ふふっ……照れちゃって!
でも凄くなんかないわ、私は葉月ちゃんが考えたものを作っているだけですもの」


景子先輩はそう言って肩を竦める。
大人びた彼女の顔を見ながら小さく首を振る。


「本当に凄いと思います。私には作れないですもん」


機械音痴な私は満足にパソコンが扱えない。
小説を書いたり、インターネットでサイトを見たり、簡単な作業は出来るが景子先輩みたいに高度な技術は兼ね備えていない。
だから本当に尊敬している。


「……ありがとね葉月ちゃん、貴方に言われると嬉しいわ」


凛とした綺麗な笑顔を浮かべると景子先輩はパソコンへと向き合う。
談笑しながらもキャラクターの事で打合せしていれば他の先輩が景子先輩の元へと駆け寄ってくる。
景子先輩の先輩にあたる人だ。


「この資料を販売部まで届けてくれ」

「はい、分かりました」


景子先輩の机に資料を置くと慌ただしく自分のデスクへと戻って行く先輩。
確か、今日までの期限のゲームがあるとかで1部の人は忙しそうだったな。

チラリと先輩の方を見ていれば『あっ』と焦った様な声が聞こえてくる。


「どうしたんですか景子先輩?」

「この後、会議がある事を忘れてたの。この資料どうしよう……」


困った様に眉をひそめる景子先輩を見ていれば口が勝手に動いていた。


「私が届けましょうか?」

「ありがとう!お願いできるかしら?」

「はい!」


景子先輩から資料を受け取ると私はオフィスを出て販売部へと足を向けた。