大人の恋は波乱だらけ!?

そう思うと胸が苦しい。
彼の哀しみに今まで気が付かないなんて……彼女失格だ。


「それは……」


戸惑う先輩たち。

そんな気まずい空気の中で、高梨部長は笑った。
『ほらな』と哀しそうに。
どうして気が付かなかったのだろうか。

彼は今にも壊れそうに笑っていたというのに。

どうして……。


「でも、騙してたのは俺だ。だから……すまなかった」


深く頭を下げる彼。

皆は息を呑んでいたけど、すぐに感情をぶつける様に声を荒げた。


「謝って済む問題じゃないっしょ!」

「そうですよ!私たちに嘘をついていたって事ですよね!?」

「そんな人と今まで働いていたと思うと虫唾が走る」


皆の口から出たのは、彼を否定する言葉だった。

何で?
高梨部長は確かに正体を隠していたかもしれない。


だけど、そんなこと関係ないじゃん。

だって、高梨部長は高梨部長なのだから……。