どこか分からない公園のベンチで私は1人泣いていた。

何故こんなに涙が出るのかとか。
何でこんなに胸が苦しいのかとか。

もうどうだっていい。

今はただ……解放されたい。

この苦しみから……。


「うっ……」


始めは声を押し殺していたけれど、我慢できなくなって嗚咽に変わっていく。

土曜日の公園、人目があるのに。
堪える事が出来ないんだ。


「……葉月」

「っ!?」


呼ばれるとは思ってもいなかった私の名前。
しかも今1番会いたくない人が目の前に立っている。

俯いていた顔を上げる訳にはいなかった。
今、彼の顔を見たら……私は……。


「こっちを見てよ」

「っ……昴さ……」


思っていた通り、私の目からは涙が溢れ出てくる。


「……は……葉月……」


戸惑う顔をするのは昴さんだった。
さっきまで明美と一緒にいたはずなのに。
彼女の姿は何処にも見えない。


「明美は……?」

「……」


私の声は聞こえているはずなのに、それに答えようとはしない。