「スバルさん!これ美味しいですよ!アーンしてください!」

「いえ、恥ずかしいのでアケミさん食べて下さい」


乙女オーラ全開の明美と偽りの笑顔を浮かべる昴さん。

何処からどう見ても仲が良さげで。
事情を知らなかったら普通の幸せそうなカップルに見えるんだ。


「っ……」


鈍い痛みが胸を襲う。

思わず手に持っていた茶色い封筒を落してしまうくらいに私は動揺していた。


「葉月!!」


バサリと音を立てて落ちた封筒。
そのせいで2人に気が付かれたようだ。


「偶然だね!何してるの!?」

「あ……友輝の会社に用があって」


封筒を拾いながら愛想笑いを浮かべる。
早くこの場から去りたい。
今はそれしか考えられなかった。


「一緒にお茶しよ!」


明美は満面な笑みで空いていた椅子を指をさすけど大袈裟なくらいに首を横に振ってしまった。