大人の恋は波乱だらけ!?

「さ……桜木……?」

「私……頑張りますから……。
高梨部長の期待に応えられる様に、貴方の部下として恥じない様に!
だから……だから……」


声が震えていくのが分かる。

『哀しそうな顔をしないで下さい』そう言いたいのに……。
上手く言葉が出てこない。

弱々しく発せられた言葉は宙へと消えていった。


「た……高梨部長……何して……」


さっきとは別の意味で声が震える。
今回のは驚きと緊張が原因だった。

さっきまで一定の距離感を保っていたはずの高梨部長の体が今はすぐ目の前にある。
私より遥かに高い身長、大きな掌。
私とは全く違う体にすっぽりと抱きしめられていた。

鼻を掠めるシトラス系の香りが私の頬を熱く染め上げていく。


「あのっ……!!」

「なぁ桜木……」


焦る私をよそに高梨部長は静かなトーンで囁いていた。
顔は見えないけど、多分、凄く穏やかな顔をしていると思う。
そんな雰囲気が体越しに伝わってくる。