大人の恋は波乱だらけ！？

「ですが、彼女の負担になると思います。
慣れない作品を作る事で【恋した悪魔～禁断の果実～】のクオリィティにも影響を及ぼすのではないでしょうか？」

「……うっ……」


さっきまで優勢だったはずの社長の顔がみるみるうちに青く染まっていく。
でもそこで終わらないのが会社社会の厄介な所だ。


「高梨君！君は社長に意見するつもりかね！？」

「そうだ、口を慎みたまえ！」


副社長を筆頭に社長を擁護するような声が次々へと飛んでくる。

このままいけば高梨部長の立場が危うくなってしまう可能性がある。
それだけは絶対に避けなければいけない。

私は決意した様に奥歯を強く噛みしめるとゆっくりと口を開いた。


「私……作ります、期待に応えられるかは分かりませんが……。
精一杯、勤めさせて頂きます」

「桜木君！よく言った。
頑張ってくれたまえ！」


深く頭を下げれば、さっきまで悪かった空気が一気に良くなっていく。
単純といえば単純だが、私にとってはそれが救いだった。


「高梨君、彼女のサポートをしっかり頼むよ」

「……はい」


高梨部長は一瞬だけ悔しそうに顔を歪めたが直ぐに真剣な顔つきに戻る。