大人の恋は波乱だらけ!?

「……高梨部長は知っていたんですか?」

「……ああ。最近だけどな」

「嫌じゃないんですか……?不安じゃないんですか……?」


明美の震えた声にこの場の空気が凍った気がした。
誰も口を挟まない。
私も友輝も顔は緊張で強張っていた。

でも、高梨部長と昴さんは至って普通だった。


「嫌じゃないと言ったら嘘になるな。
不安だっていつも胸を渦巻いている」

「だったら何で!!」


明美の泣きそうな声に、高梨部長は目を細めると顔だけを私に向けた。
そして、大きな手のひらで頭をクシャリと撫でてくれる。
反射的に目を瞑ってしまうけど、優しい声は耳にちゃんと届いたんだ。


「でも、俺は桜木を信じているから」


柔らかい彼の声にズキンと胸に痛みが走った。

だって私……。
昴さんとキスを……。

頭を横切るのはさっき家で交わした激しいキスだった。

意味は分からないけれど。
私たちが唇を重ねた事は事実だ。

だから……。


「桜木?どうした?」

「っ……何でもありません……。
信じて下さって……ありがとうございます……」


声を絞り出して言えば、彼は柔らかく笑った。