大人の恋は波乱だらけ!?

「何だよ……これ」

「っ……」


思わず声が漏れてしまう。
何故なら昴さんが私の首筋のある1点を撫で上げたからだ。

そこはさっき高梨部長の唇が触れた部分だった。
恐らく、キスマークがついているのだろう。
思わず顔を紅めてしまう。

そんな私を冷たい目で見下ろすと、彼は小さく口を開いた。


「ヤッたのかよ……あの男と」


低すぎるその声は私に向けられている。
それは分かっているのに答える事が出来ないんだ。

何で……何でそんなに怒ってるの……?

考えても分からないのに、考えてしまう。

その度にズキズキと胸が痛むんだ。


「なに黙ってんだよ……ヤッたのかって聞いてんだよ!!」


ドンッと私の顔のすぐ近くの壁を殴る彼。

驚いたってよりも、呆然としてしまう。

だって……。

昴さんの顔が哀しそうに見えたから。

怒っているのに、哀しそうなんておかしいかもしれない。

でも、私にはそう見えたんだ。


「……昴さんには……関係ないです……」


そんな顔を見ていたくない。
何故か私の心が悲鳴を上げた。
顔を逸らしたと同時に、彼の手が私の顎を掴んだんだ。