大人の恋は波乱だらけ!?

「おはようございます!」


会社に着き自分の部署である“商品企画開発部、恋愛ゲーム部”に向かった。
名前の通り恋愛ゲームを作る部署である。主に恋愛小説を書いてきた私にはうってつけの場所だ。
チラホラと出社していた人と挨拶を交わしながら自分のデスクへと向かう。

デスクへ着くなり鞄からノートを取り出して新しいシナリオを考える。

頭を捻らせながら思いつく限りのアイディアを走り書きしていく。
使うか使わないかは後で考えればいい。
少しでも沢山のアイディアを絞り出すのが今私に出来る事だ。


「桜木」

「あっ……高梨部長!
おはようございます」


聞き慣れた声が後ろから聞こえ振り返れば優しく微笑む高梨部長が立っていた。


「おはよう。
社長が呼んでるから一緒に来てくれるか?」


“社長”という単語にピクリと肩が揺れる。
私みたいなただの社員が社長にお目にかかる事なんて……。
何か失態を犯していないか記憶を辿るものの明確な答えは出てこない。

そんな私を見透かしたように高梨部長は、私の肩を軽く叩く。


「きっと悪い話じゃないさ。
お前には褒められる要素はあっても怒られる要素はない」


高梨部長はそう言うとニコリと笑ってくれる。
そして間を開けることなく言葉をつづけた。


「もし怒られたとしても俺がお前を守るよ。
……だから心配するな」


頼もしいその言葉に導かれる様に小さく頷いていた。
高梨部長と一緒ならきっと大丈夫、そう思える何かが彼にはあった。