大人の恋は波乱だらけ!?

「に……苦い……」


さっきと同様に、飲んだ瞬間に苦さが口全体に広がっていく。
助けを求める様に高梨部長を見れば、カクテルのグラスを差し出してくれた。
これで本当に甘くなるのだろうか、信じられないが少しでも苦さを和らげたくてカクテルを口に含んだ。
その数秒後、それは魔法が掛かったみたいに甘くなっていた。


「どう?」


聞かなくても分かっている、といった顔で私を覗き込む高梨部長。
私は間髪開けずに声を上げる。


「甘い……です」

「ね?これで分かった?」

「えっと……。
つまり、高梨部長が作ったオリジナルのカクテルは、この苦いお酒の後に飲むから甘く感じるって事ですか?」

「んー半分正解かな?」


クスリと笑う彼に、私は再び首を傾げた。
だったら残りの半分は一体なんだというのか。
疑問に思っていれば、高梨部長は苦いお酒のグラスとカクテルのグラスを隣通しに並べた。
そして、その2つを見てフワリと顔を緩める。


「実はこの2つとも俺が作ったんだ。
だから、どちらか一方だけでは、俺が作ったカクテルは成立しないって事。
1つは苦いし、1つは味気ない、2つ飲むから美味しくなる」


彼はそう言って、苦いお酒を自分の方に、カクテルを私の方に置いた。


「こっちが俺で、そっちがお前。
このカクテルみたいに、どちらか一方だけじゃなくて2人揃って生きていきたいんだ」


高梨部長は私の手に自分の手を重ねると、力強く握りしめた。
どんな言葉も彼の前には霞んでしまう。
それくらい、私は胸を打たれていた。
誰かにこんな事を言われたのは初めてで、どうしていいか分からない。
ただ目を逸らさず高梨部長を見つめた。