「このカクテルは元々あまり美味しい物じゃないんだ。
桜木が言う様に甘さも控えめだしな」
「で、でもさっきは甘くて美味しかったですよ?」
高梨部長の言葉に納得が出来ないのは、さっき飲んだ時は美味しかったという事実があるからだ。
下手したら、私が1番好きなカルーアミルクより好きかもしれない。
そう思っていたくらいだ。
なのに……。
「このカクテルの前に飲んだものを覚えているか?」
「……」
彼の言葉に反射的に眉を顰めてしまう。
忘れる訳がない、あの苦い味を……。
そう思っていれば、高梨部長はクスリと笑みを零した。
「そんな顔をするなよ。
あれがあってこそのカクテルなんだから」
「どういう事ですか……?」
「分かりやすく言うと、あの苦い酒と、この甘さを感じないカクテルは2つで1つって事だ」
高梨部長は分かりやすく説明してくれたみたいだが、さっぱりと理解が出来なかった。
2つで1つとはどういう事だろう。
考え込む私を見て高梨部長は、グラスを差し出してきた。
それはあの苦いお酒が入っているグラスだ。
「な、なんですか……?」
「説明だけじゃ分からないんだろ?
だったら実際に試してみればいい」
意地悪な笑みを浮かべながら高梨部長は私を見ていた。
頬杖を付きながら、逃がさないという様に私の瞳を捕えている。
「試すって……」
目の前にあるグラスを見るだけで、苦い味が舌に広がる様な感覚になる。
震える体を抱きしめながら、ゴクリと唾を飲みこんだ。
「さあ、どうぞ」
「……い、いただきます」
本当は苦いのなんて飲みたくない、飲みたくないけど、彼が作ったカクテルだと思うと自然に手が伸びていく。
桜木が言う様に甘さも控えめだしな」
「で、でもさっきは甘くて美味しかったですよ?」
高梨部長の言葉に納得が出来ないのは、さっき飲んだ時は美味しかったという事実があるからだ。
下手したら、私が1番好きなカルーアミルクより好きかもしれない。
そう思っていたくらいだ。
なのに……。
「このカクテルの前に飲んだものを覚えているか?」
「……」
彼の言葉に反射的に眉を顰めてしまう。
忘れる訳がない、あの苦い味を……。
そう思っていれば、高梨部長はクスリと笑みを零した。
「そんな顔をするなよ。
あれがあってこそのカクテルなんだから」
「どういう事ですか……?」
「分かりやすく言うと、あの苦い酒と、この甘さを感じないカクテルは2つで1つって事だ」
高梨部長は分かりやすく説明してくれたみたいだが、さっぱりと理解が出来なかった。
2つで1つとはどういう事だろう。
考え込む私を見て高梨部長は、グラスを差し出してきた。
それはあの苦いお酒が入っているグラスだ。
「な、なんですか……?」
「説明だけじゃ分からないんだろ?
だったら実際に試してみればいい」
意地悪な笑みを浮かべながら高梨部長は私を見ていた。
頬杖を付きながら、逃がさないという様に私の瞳を捕えている。
「試すって……」
目の前にあるグラスを見るだけで、苦い味が舌に広がる様な感覚になる。
震える体を抱きしめながら、ゴクリと唾を飲みこんだ。
「さあ、どうぞ」
「……い、いただきます」
本当は苦いのなんて飲みたくない、飲みたくないけど、彼が作ったカクテルだと思うと自然に手が伸びていく。

