「才能のない奴はな……必死に努力するしかないんだよ。
諦めたくても、諦めきれなくて、何年も何年も悩んで書き続けてそれでも上手くいかなくて……。
なのに、どうして自らその才能を捨てようとするんだよ。
書きたくても書けない奴の事を少しでも考えた事があるか!?
本当に夢を諦めたなら、そんな未練がましい目してんじゃねぇよ!」
昴さんは感情を爆発させる。
今まで溜まっていた分を吐き出すかの様に。
私はそんな彼の言葉を一文字たりとも逃すことなく胸に刻んだ。
彼の本当の姿をこの目に焼き付けておきたい、偽りの仮面を被った昴さんじゃなくて
本物の新條 昴が知りたかったから。
「何で、何でだよ……。
俺はお前が羨ましくて仕方がねぇよ……」
弱々しく発して、昴さんは崩れ落ちる様に床に座り込んだ。
大きな音を立てて椅子が倒れる。
そんな音さえも彼の耳には届いていない様だった。
私は黙ったまま彼へと近付く。
ピクリとも動かない昴さんの直ぐ近くに倒れていた椅子を起こして少しずらした位置に立たせる。
空いたスペースに腰を下ろして、昴さんの隣で彼と同じ様に座った。
「私も昴さんの小説を読んだ時、同じ様な事を思いました」
「……」
「貴方の小説の世界に引き込まれた。
ううん、引き込まれたなんて生温い表現じゃ足りない。
引きずり込まれたって言うか……魅了されたんです。
周りの音が聞こえなくなるほどに……」
昴さんの小説を読んだ時の事を思い出しながら丁寧に伝えていく。
私があの時何を感じたのか、昴さんの小説の素晴らしさを彼は自分で分かっていない。
それが少しでも伝わる様に慎重に正確な言葉を探していく。
諦めたくても、諦めきれなくて、何年も何年も悩んで書き続けてそれでも上手くいかなくて……。
なのに、どうして自らその才能を捨てようとするんだよ。
書きたくても書けない奴の事を少しでも考えた事があるか!?
本当に夢を諦めたなら、そんな未練がましい目してんじゃねぇよ!」
昴さんは感情を爆発させる。
今まで溜まっていた分を吐き出すかの様に。
私はそんな彼の言葉を一文字たりとも逃すことなく胸に刻んだ。
彼の本当の姿をこの目に焼き付けておきたい、偽りの仮面を被った昴さんじゃなくて
本物の新條 昴が知りたかったから。
「何で、何でだよ……。
俺はお前が羨ましくて仕方がねぇよ……」
弱々しく発して、昴さんは崩れ落ちる様に床に座り込んだ。
大きな音を立てて椅子が倒れる。
そんな音さえも彼の耳には届いていない様だった。
私は黙ったまま彼へと近付く。
ピクリとも動かない昴さんの直ぐ近くに倒れていた椅子を起こして少しずらした位置に立たせる。
空いたスペースに腰を下ろして、昴さんの隣で彼と同じ様に座った。
「私も昴さんの小説を読んだ時、同じ様な事を思いました」
「……」
「貴方の小説の世界に引き込まれた。
ううん、引き込まれたなんて生温い表現じゃ足りない。
引きずり込まれたって言うか……魅了されたんです。
周りの音が聞こえなくなるほどに……」
昴さんの小説を読んだ時の事を思い出しながら丁寧に伝えていく。
私があの時何を感じたのか、昴さんの小説の素晴らしさを彼は自分で分かっていない。
それが少しでも伝わる様に慎重に正確な言葉を探していく。

