「私は……昴さんみたいに強くない。
夢を追いかける為に今自分が持っているモノを全て手放すなんて出来ないんです。
親や友達に心配かけたくないし、世間の目だって気になる。
私は……臆病な人間なんです」
本当は私だって、もっと強くなりたい。
周りの目を気にすることなく自分に素直になって本能のまま生きてみたい。
だけど、どう足掻いたって私には無理だ。
自嘲気味に笑い彼に視線を向ける。
哀しそうな目、それでもどこか力強い目で私を見つめる。
まるで真偽を確かめるかの様に……。
「……」
「でも……昴さんが言ってくれた言葉は……凄く嬉しかった」
自然に頬が緩み私の顔は笑顔で染まる。
それでも、胸の奥がズキリと痛くなり目頭に熱が帯びていくのが分かる。
涙が出そうになるのを堪えながら昴さんに背を向けた。
「さっ!ご飯食べましょう!もう絶対、冷めちゃってますよー!」
明るく言って先に部屋を出ようとした時だった。
「無理……するなよ……。
頼むからそんな顔で笑ってんじゃねぇよ……」
彼の苦しそうな声が耳元で響き渡っていた。
耳にかかる彼の吐息が私の鼓動をおかしくさせる。
「す……昴さん……」
背中に感じる昴さんの体温が、体に回る逞しい彼の腕が私を混乱させる。
後ろから強く抱きしめられているせいで身動き一つとれない。
その場で固まっていれば優しく諭す様な声が聞こえてきた。
「もう……逃げるのはよせ。お前ならきっと……」
それを聞いた瞬間、私の体は操られたように勝手に動いた。
スルリと彼の腕を抜ける。
そして、彼に目を向けることなく早口で言い放った。
「そうだ!マヨネーズが切れていたんだった!
私、買ってきますね!先にご飯食べちゃってください!!」
「お……おい!!」
「行ってきます!!」
昴さんの制止を聞かず私は鞄を持って家を飛び出した。
夢を追いかける為に今自分が持っているモノを全て手放すなんて出来ないんです。
親や友達に心配かけたくないし、世間の目だって気になる。
私は……臆病な人間なんです」
本当は私だって、もっと強くなりたい。
周りの目を気にすることなく自分に素直になって本能のまま生きてみたい。
だけど、どう足掻いたって私には無理だ。
自嘲気味に笑い彼に視線を向ける。
哀しそうな目、それでもどこか力強い目で私を見つめる。
まるで真偽を確かめるかの様に……。
「……」
「でも……昴さんが言ってくれた言葉は……凄く嬉しかった」
自然に頬が緩み私の顔は笑顔で染まる。
それでも、胸の奥がズキリと痛くなり目頭に熱が帯びていくのが分かる。
涙が出そうになるのを堪えながら昴さんに背を向けた。
「さっ!ご飯食べましょう!もう絶対、冷めちゃってますよー!」
明るく言って先に部屋を出ようとした時だった。
「無理……するなよ……。
頼むからそんな顔で笑ってんじゃねぇよ……」
彼の苦しそうな声が耳元で響き渡っていた。
耳にかかる彼の吐息が私の鼓動をおかしくさせる。
「す……昴さん……」
背中に感じる昴さんの体温が、体に回る逞しい彼の腕が私を混乱させる。
後ろから強く抱きしめられているせいで身動き一つとれない。
その場で固まっていれば優しく諭す様な声が聞こえてきた。
「もう……逃げるのはよせ。お前ならきっと……」
それを聞いた瞬間、私の体は操られたように勝手に動いた。
スルリと彼の腕を抜ける。
そして、彼に目を向けることなく早口で言い放った。
「そうだ!マヨネーズが切れていたんだった!
私、買ってきますね!先にご飯食べちゃってください!!」
「お……おい!!」
「行ってきます!!」
昴さんの制止を聞かず私は鞄を持って家を飛び出した。

