月曜日になり今日からまた1週間が始まる。
週末は昴さんと現実逃避と言う名のプチ旅行をしていたから、ゲームの案を考える暇がなかった。
これから急ピッチでやらなければ。
気合いを入れるために、グッと拳に力を入れていれば後ろから馬鹿でかい声が飛んできた。


「葉月!!」

「あっ、明美ーおはよう」


会社に入る為に、IDカードを取り出しながら明美の到着を待つ。
ズカズカと走ってくる明美は遠くから見ても不機嫌オーラが出ているのが分かる。
絶対何かあったな、そう思いながら苦笑いを浮かべる。


「ちょっと聞いてよ!!」

「はいはい、何?」


IDカードを通して中に入り、2人で一緒にエレベータに向かう。


「彼氏にデートすっぽかされたんだけど!!」

「わー……そりゃまた災難だったね……」

「こんなの初めてだよ!
土曜日、楽しみにしてたのに!!
しかもおNEWの服買ってたのにー!!」


エレベータの中だというのに叫びだす明美。
私たちだけならまだしも、ここには……。


「……」

「……」


沢山の社員が一緒に乗っているというのに。
鋭い視線が四方八方から突き刺さる。
周りが見えていない明美の代わりに謝り頭を下げる。


「ちょっと明美、落ち着いてよ」


明美の服を軽く引っ張りながら小声で言う。
それでも彼女の怒りは全く収まらない様で、再び叫びだしたのだった。


「落着ける訳ないでしょ!!」

「あーもう!!ちょっと来て!!」


タイミングよく開いた扉から明美を連れ出す。