大人の恋は波乱だらけ！？

「送って頂いてありがとうございました」


玄関の前で深く頭を下げる。
高梨部長は2階ににある私の家の前まで送ってくれたのだ。

本当に優しい人だ、そう思いながらチラリと自分の家の扉に目を向ける。


「いや、それじゃあ……」

「あの！
良かったら上がって行きませんか？
何も無いですけどお茶くらいなら……ん！？」


言葉を遮る様に高梨部長の人差し指がちょこんと私の唇に触れる。
そして呆れたようにタメ息をつかれる。
何が何だか分からず、呆然としていればコツンと頭を小突かれた。


「さっき俺がバーで言った事もう忘れたのか？
『もっと警戒心を持て、お前は隙がありすぎる』と言っただろう！」

「そ……そんな事言われても……。
あ！ご迷惑でしたよね……狭い家ですし……」


私は何を言っているのだろうか。
高梨部長を誘うなんて……。
恥ずかしい気持ちと、申し訳なさが入り混じって俯けばさらに深いタメ息が落とされた。


「馬鹿か……。
こんな夜更けに男を家に上げるな！」

「でも送っていただいたお礼をと思って……」

「お前1人暮らしだったよな？」

「え？あ……そうですけど……」


いきなり言われた言葉に首を傾げながらも答えれば、高梨部長は頭を抱えて苦笑いを浮かべた。


「そういう所が甘いんだよ……。
男と女が1つ屋根の下にいたらどうなると思って……」

「どうなるって……？」


いまいちよく分からず戸惑っていれば、高梨部長のワザとらしいほど大きなタメ息が聞こえてくる。