大人の恋は波乱だらけ!?

再び走り出した車。
何処に向かっているのか、それはきっと昴さんにも分からないのだろう。

会話がない車内だが、気まずいとは思わなかった。
さっきのキスも夢な訳ではないのに何故か冷静な自分がいる。

1度目のキスも、2度目のキスも
あれほど嫌だったのに、なぜ今回は何の抵抗もしなかったのだろうか。
少し戸惑う気持ちはあったが何となく分かる気がする。

きっと私は、彼の事を信じたいからだ。
友達とも仕事仲間ともいえない関係だけど、一緒に過ごすうちに昴さんを理解したいと思う様になったのだろう。
価値観も、生き方も何もかも違う私たちだけど、
私が彼を尊敬していることには変わらないから。


「……昴さん、どこか行きましょうか」

「……」

「明日は金曜日だけど祝日で会社も休みだし、週末を一緒にエンジョイしませんか?
……この際、パーッと」


何故自分がこんな事を言ったのかは分からない。
でも、少し、もう少し彼と一緒にいたいと思った。
このまま昴さんと家に帰ってしまえば、この関係が崩れる、そう感じたのかもしれない。


「えっと……」


黙ったままの昴さんを見つめているが相変わらず彼の瞳は何を映しているのか分からなかった。
ココまで感情が読めないのは昴さんくらいだろう……。
そう思い俯きがちに目を伏せれば一瞬だけ鼻で笑われた。


「明日というか、もう今日だけどな」

「え?」


疑問に思い腕時計に目を向ければ、時刻は0時を回っていた。
つまり祝日は既に始まっているという事だ。


「い……いつの間に……」

「……まあ、俺もそのつもりだ」

「え?」

「……週末まで女共の相手をするなんてまっぴら御免だからな。
ちょっとした逃避行だ、付き合え」


唇の片端をクイッとあげると、昴さんは車のスピードを上げる。
真夜中の誰もいない道に私たちが乗る車の明かりだけが光っていた。