大人の恋は波乱だらけ！？

「……口調が全く違ったんだが……。
まるで別人みたいだ……」

「……そういう人なんですよあの人は……」


苦笑いを浮かべながら昴さんの背中を見送る。
でも不思議な感じだな……。
外では絶対に爽やかな仮面は外さないのに、高梨部長の前ではいつもの昴さんへと戻っていた。
大丈夫なのかな……？
少し心配になっていれば隣から視線を感じた。


「……あの人とどういう関係か……話してくれるか？」


鋭い目つきに両肩が僅かに揺れる。
怒っている、そう一瞬で分かるものだった。


「……」


早く説明をしなければいけない。
そう思うのに何て説明をすればいいのか分からない。


「あの人……小説家志望の人だよな？
前にこのバーで見かけた」

「……はい」


いつもの優しい顔ではなく表情が読めない顔で私を見つめている。


「……あの時、お前はあの人を気にしている様だったが……。
……好き……なのか？」


好きなのかって……。


「そんな訳ないですよ！
私が好きなのは高梨部長だけです！！」


ハッキリと言い放てば何処からか視線が突き刺さる。
それは近くに座っていた人たちのものだった。


「あっ……」


我を忘れて自分が思ったより大きい声で話してたみたいだ。
恥ずかしくなって俯けば、ぎゅっと手を掴まれる。

その手は勿論、高梨部長のもので……。
異常なまで熱くなっていた。

高梨部長も照れているのだと伝わってくる。
恥ずかしいけど、何だか嬉しくて場違いなのに思わず口元が緩んだ。