大人の恋は波乱だらけ！？

「随分とまあ……だらしない顔だな」

「なっ！？」


失礼な言葉が聞こえ振り向けばそこには昴さんが立っていた。
その顔はいつもの無表情ではなく、不機嫌そうな顔つきだった。


「あ……あの……？女性と待ち合わせですか？」

「……」


私の問いかけに答える事はなくズカズカと近づいてくる。
そしてさっきまで高梨部長が座っていた席に座ると私のグラスを奪い残っていたお酒を飲み干してしまう。


「ちょっ……何して……」

「……甘ぇ……」


手の甲で口を拭いながら顔を顰める昴さん。
彼の行動の意図が分からず呆然としていれば不機嫌そうに口を開いた。


「思いが通じ合ったならさっさとヤッちまえよ」


下世話な言葉に思わず顔を顰めてしまう。
昴さんがこういう人間だという事は分かってきたつもりだし、だいぶ慣れてきた。
だけど、彼にこんな事を言われる筋合いはない。


「昴さんには関係ないです」


そう言えば『ハッ』と馬鹿にしたように鼻で笑われる。
そして、冷たい目で見下ろされる。


「心なんていつかは変わる。
早いうちに既成事実でも作って置けばいいじゃねぇか」


カッとして手を振りあげればその手は易々と昴さんに掴まれる。


「本当にガキだな、直ぐに手が出る」

「ガキで結構です！
貴方が大人だというなら私は子供の方がずっとマシです！！」


何なのよ！そう思いながら昴さんを睨みつける。
彼はちっとも動じることなく私を見ていた。